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産油国サウジが欧米の要請に「塩対応」、元建て移行も示唆

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


主要産油国のサウジアラビアに対し、米英両国は原油を増産し、ロシアを孤立させる取り組みに加わるよう働き掛けを強めている。しかし、サウジにはこうした要請になびく様子がほとんど見られない。それどころか、対中原油輸出をドル建てから人民元建てに移行させる可能性を再びちらつかせている。世界最大の原油輸出国であるサウジには、このところ欧米から要人が相次ぎ来訪し、15日に米国家安全保障会議(NSC)のブレット・マクガーク氏が、翌16日にジョンソン英首相が訪れた。サウジとその隣国アラブ首長国連邦(UAE)は、生産能力に余裕のある数少ない産油国。しかし、油価の高騰を冷やすための増産を求める欧米の要求をはねつけ、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」の減産協定を堅持している。


実権を握るサウジのムハンマド皇太子は、2018年のサウジ人ジャーナリスト殺害事件、国内の人権問題、イエメンの親イラン勢力との武力紛争を巡って欧米からの強い批判にさらされている。バイデン米大統領はこれまでムハンマド皇太子との直接的な交渉を拒否している。米国とサウジの関係が冷え込む中で、ムハンマド皇太子が進めているのはロシアや中国との関係強化だ。ただ、それでもサウジは安全保障の面では依然として米国と緊密な関係にある。消息筋2人によると、マクガーク氏と複数の米政府高官は15日にサウジ高官と会談し、石油を増産し、イエメンにおける紛争終結のための政治的解決策を模索するよう迫った。米政府高官の1人は、マクガーク氏が中東で「イエメンを含む幅広い問題を協議している」と述べたが、詳細は明かさなかった。


一方、ジョンソン英首相は、エネルギーにおける世界的なロシア依存から脱却し、ロシアのプーチン大統領に圧力をかける取り組みにおいて、サウジとUAEは「重要な国際的パートナー」だと持ち上げた。しかし、UAEの著名政治アナリストのアブドゥルハレック・アブドゥラ氏は、ジョンソン氏はあまり期待すべきではないと指摘。「手ぶらで帰国することになるだろう」とツイッターに投稿した。サウジ政府は米英要人の相次ぐ訪問について、コメント要請に応じなかった。サウジには今のところ、増産は徐々にしか進めないとするOPECプラスの協調減産協定を破棄する気配はない。


<つれないサウジ>


OPECプラスは、ロシアのウクライナ侵攻と欧米による対ロ制裁強化から1週間も経たない2日の会合で、ウクライナ問題にあえて触れず、既存の減産協定の堅持で早々に合意した。一方、サウジ政府は中国の習近平国家主席を年内に招き、両国関係を緊密にしたいとの意向を示している。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、サウジアラビアが中国に販売する原油の一部を人民元建てとする方向で協議中だと報じた。事情に詳しい関係者は「サウジが実際に対中原油輸出を人民元建てに切り替えれば、外為市場の力学が変わるだろう」と予測。他の輸入国がこうした動きに追随するかもしれないと付け加えた。中国は以前から人民元建てへの切り替えを求めており、サウジは2018年にも同じような意向を示唆したことがあるという。


サウジのエネルギー省はコメントを拒否し、国営石油大手サウジアラムコはコメント要請に応じなかった。ある外交筋は、サウジは欧米に対抗するために「手あかの付いた脅し」を持ち出しただけだと述べた。同外交筋を含め複数の関係者が、原油価格がドル建てであること、サウジが通貨リヤルにドル連動制を導入していること、人民元が基軸通貨ではないといった理由を挙げ、人民元建てへのシフトは現実的には難しいとの見方を示した。アメリカン・エンタープライズ研究所のカレン・ヤング研究員は「ドル建てのサウジ債、ドルによる準備資産、サウジで保有されている米国株などの存在はもちろん、原油価格がドル建てとなっていることや、リヤルのドル連動制などを考えると、人民元建てへの移行は無謀だ」と指摘する。「中国との間に人民元建ての契約がある程度あるかもしれないが、サウジの金融政策が方向転換されることはない」


サウジ中央銀行の1月末時点の保有資産は4928億ドル(約58兆5387億円)相当で、このうち米国債は1190億ドル。政府の2021年末時点の外貨建て債務は1011億ドルで、大半がドル建てだった。また、サウジ政府系ファンドが保有する米国株は560億ドル相当に上る。アブダビ商業銀行のチーフエコノミスト、モニカ・マリク氏は、サウジが一部の原油輸出をゆっくりと人民元建てに移す可能性があるとみているが、「移行が少しずつ進めば、影響は限られるだろう」と予想する。米国務省は15日、米政府は同盟国に対して、米国と中国のどちらかを選択するよう迫るようなことはしていないと説明した。



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